【学資保険の基礎】まずは「貯蓄」と「保障」の2型を理解すること

学資保険とはどのようなものでしょうか。ここでは、学資保険についての基礎知識をゼロから解説していきます。

学資保険とは

学資保険とは、子どもの教育資金を積立・補助することを目的とした保険のことをいいます。契約した保険料を支払うことで、15歳、17歳、18歳など、あらかじめ設定した満期時に給付金が支払われるほか、プランによっては中学や高校進学時に『祝い金』を受けることもできます。

各家庭により異なりますが、高校や大学入試など、多額な教育費が必要となる時期に備え契約する人が多いようです。祝い金は、受け取ってしまうと満期に支給される額が少なくなるため、節目節目で分割払いのような給付を受けたいか、予定通りの額を満期時に受け取りたいかで選択が変わってきます。

学資保険はもともと郵便局が昭和初期にはじめたもので、その後は高度成長期やベビーブームの後押しもあり加入者が増加したといいます。現在でも学資保険といえばかんぽ生命(旧郵政局)はかなりの知名度がありますが、各社とも工夫のこらした商品を販売しており、加入者にとっては選択の余地が増えました。

学資保険の特徴

契約者である親が死亡または重度障害など、万一の事態により保険料の支払いが不可能になった場合は、それ以降の支払いが免除されるうえ、満期時に受け取れるはずだった保険金もきちんと保障されるという特徴があります。

これは、学資保険の主体は、契約者である親にではなく子どもにあるためです。経済的理由による教育機会の損失を防ぐため、契約者が計画的に資金を積み立てることを目的としている保険だからこそ、いざという事態にはその大前提に則り救済措置がなされます(※ただしプランにもよります)。また、後述する育英年金付きの商品なら、満期時までの間に所定の年金を受け取ることもできます。

逆に、子どもが怪我をしたり死亡した場合に医療費や死亡給付金が出る商品もあります。ただ、”子どもの将来のために”という大前提に立ち戻れば、医療費はともかく、死亡時までを危惧して学資保険として支払うのは違和感を感じるという人もいるようです。当然、そのぶん保険料も高くなる仕組です。

加入時期は、子どもが生まれる前から15~18歳くらいまでと、保険会社によって多少の差があります。加入するなら、教育費をあまり必要としない小さなうちからの方がメリットが高いでしょう。

なお、途中で解約してしまうと『解約返戻金』という形である程度のお金は戻ってはくるものの、それまで支払った保険料が全額戻ってくる訳ではないので注意が必要です。契約時は熟考し、無理のない支払い額を設定しましょう。

学資保険の種類 ~メリットとデメリット

学資保険は『貯蓄型』『保障型』『バランス型』に分類でき、それぞれに特徴があります。ここでは、その違いを見ていきましょう。

シンプルな積立式の貯蓄型

繰り返しになりますが、学資保険は本来、子どもの将来のための教育費を計画的に積み立てることを目的としています。

貯蓄型の学資保険とはまさにこのタイプで、契約時に設定する満期時まできちんと保険料を支払えば、元本(保険料の総支払い額)よりも多くの保険金額を受け取ることができます。この『返戻率』が100%を超えるという点が、貯蓄型の最大の特徴といえるでしょう。

貯蓄をメインとした保険のため、余分な保障がないぶん保険料も安く、元本割れも起こりにくいという理屈です。生命保険や県民共済などでもしもの事態に備えている人にとっては適した型といえるでしょう。そうでない人には、医療・死亡保障の有無がデメリットに映るかもしれません。

もしもの事態に手厚く備える保障型

教育資金の貯蓄だけでなく、医療保険や生命保険を加えた学資保険を保障型と呼んでいます。

子どもに対する医療・死亡保障が付帯しているものや、親の死亡保障が付いているものがあり、親を亡くした子どもの生活費を保障する育英年金付きの商品もあります。いずれにしても、貯蓄よりも医療・生命保険に重きを置いているのが特徴で、貯蓄型に比べて保険料は割高になります。

保障型を選ぶメリットとしては、いざというときには相応の保障が受けられるという点が挙げられます。保険料は上がるものの、医療費等を含めた総額出費でいえば負担を軽減できるかもしれません。

デメリットはやはり保険料でしょう。保険料の総支払額が上がるということは、満期時に受け取れる保険金が総支払額を下回る、つまり返戻率が100%を割るということになります。純粋に子どもの教育費を積み立てたい人は、貯蓄型を選び、医療・死亡保障は他の生命保険などで補うという手もあります。

貯蓄&保障の中間をいくバランス型

商品やプランによっては、貯蓄型と保障型の中間をいくバランス型の保険を選ぶことができます。損をしない程度の貯蓄率を維持しつつ、医療保障などもおろそかにしたくないという人向けのタイプです。

損をしないためには、返戻率が100%を割らないよう計算しなければなりません。その代償として、死亡保障における育英年金は付かないと考えておきましょう。保障の手厚い育英年金が付いてしまうと、保障型のそれとあまり変わらないものとなってしまいます。

もちろん、子どもの病気や怪我には医療保障を付けることができます。ここで注意したいのは、保障内容の程度。いざというときのリスクに対する考え方は、結局は個人の主観によるものです。バランス型とはいえ、自分にとって必要なもの、必要でないものをしっかりと判断しないことには、保障型とあまり大差のない、返戻率の低い保険商品を選ぶことになりかねません。

未来の教育プランをできる限り具体的に想定し、子どもと家計にとって最適な商品を選んでください。

『子ども保険』と『学資保険』の違いは?

ところで、学資保険はこども保険と呼ばれる場合があります。両者の違いは何でしょうか。

結論から言うと、両者の違いは名称だけで、まったく同類の商品であることが多いです。ただし特徴はあります。それは、貯蓄型か保障型かという違いです。

一般的には、学資保険が将来の教育費のために積み立てる貯蓄型であるのに対し、子ども保険は医療保険などをセットにした保障型の商品を指す場合が多いようです。どちらに重きを置いているかで名称が変わることもありますが、各保険会社は特に意識して使い分けている訳ではありません。学資保険という名の保障型商品もあれば、その逆もしかりです。

名称に惑わされず、元本割れや保障内容の充実度などをしっかりと見極めて加入しましょう。

学資保険の支払い方法

支払い方法は各社により異なりますが、基本的には以下の4つになります。

・月払い
・半年払い
・年払い
・一時払い

それぞれ家計に適した払い方を選択すれば良いのですが、最も保険料がオトクになるのは一時払いです。月払いと一時払いとでは約2割ほど安くなるのが一般的でしょう。

ただし、覚えておいてください。一時払いをしてしまうと、契約者が死亡または重度障害になった際の救済措置である”保険料の免除”が適用されません。もしもの事態を考えると、一度に高額な出費をするのはリスキーといえます。月払いにボーナスを併用するなどして着実に支払っていく方が良いかもしれません。

学資保険と定期預金

貯蓄型か保障型のどちらを選ぶかにもよりますが、純粋に元本以上のお金を積み立てたいなら、学資保険は使わずに定期の積立貯蓄を利用するという選択もあります。両者の場合、どちらの方が運用率が高いのでしょうか。

低金利とはいえ、定期預金ならば予定通り積み立てた場合に元本割れすることはありません。何らかの理由で解約してしまっても、それまでに支払ったお金を受け取ることができます。

一方、学資保険は、貯蓄型できちんと保険料を支払えば元本割れは防げるものの、子どもが一定の年齢になったときにはじめて予定していた額が給付される仕組みのため、経済的理由などで途中解約してしまうとそれまでの保険料が無駄になってしまいます

ただ、学資保険は契約者にもしものことがあった場合に、それ以降の保険料を免除する制度や、条件によっては予定していた満期時の給付金を全額受け取れる商品もあります。この点は大きなメリットと言えるでしょう。保障部分に力を入れた学資保険であればなおさらです(もちろん、親などの契約者が無事にいてくれることに越したことはありませんが)

低い金額であろうとも、元本を着実・安全に増やしたいなら定期預金を選んで損はないでしょうが、確かな将来設計に基づいての学資保険なら相応のメリットを得られると思います。

子どもにかかる教育費

■大学生活に備える

学資保険は子どものためにかかる費用を補うためのものですが、実際のところ、満期保険金はどの程度助けになるのでしょうか? ここでは、学資保険の利用用途として最も可能性の高い大学生活にかかる学費を想定してみたいと思います。

■大学(昼間部)の学費データ

項目 国公立 私立文系 私立理系
入学費用 ※1 84万6000円 98万6000円 103万5000円
在学費用 ※2 116万2000円 148万5000円 179万5000円
合計 200万8000円 247万1000円 283万3000円
4年間合計
(入学費用除く)
549万4000円 692万6000円 821万8000円

※1.入学費用は、受験費用、学校納付金、入学しなかった学校への納付金
※2.在学費用は、授業料、通学費、教材費費などその他の学校教育費
※在学費用は、23年度における見込額
※出典:国民生活金融公庫『平成23年度教育費負担の実態調査』

入学費用をはじめ、その他さまざまな名目でかかる納付金により私立が国立・公立を上回り割高になっています。表から見る一般的な学費(その他出費含む)の平均額は687万9333円となりました。もちろんこれは概算です。学費は学部により上下しますし、通学費や課外活動費も個人の環境により異なります。

いずれにしろ、子どもの大学費用を学資保険一つで捻出しようとするならば、どの区分の大学に通うことになろうとも500万円は必要ということになります。

※子どもにかかる教育費についての詳しい考察は、より深く学ぶの『シミュレーション ~子どもにかかる養育費』で押さえていますのでそちらも参考にしてください。

学資保険に加入できないケース

学資保険は契約者の状態により加入できないケースがあります。どんな場合に加入できないのか、確認してみましょう。

(1)契約者または被保険者の健康上の問題
学資保険は分類上、生命保険に位置します。資金の積立がメインであるものの、医療保障や死亡保障がセットになった商品も多いからです。となると、保険契約者(親など)や被保険者(子ども)の健康状態が審査の対象となるのは当然のこと。契約が可能かどうかの線引きは各保険会社により異なりますが、たとえ不可であっても、掛け金を増やすことによって契約が可能になったりと、交渉次第で加入できることもあります。

(2)年齢制限の問題
大抵の場合、学資保険には年齢制限が設けられています。これは契約者も被保険者も同じで、契約者であれば男性が18歳~60歳、女性が16歳~60歳であることが多いです。60歳までとしているのは、高齢になればなるほど契約者の死亡や重度障害の可能性が高くなるため、そのリスク回避です。関連して、年齢が高いほど保険料も高くなるのが一般的です。

一方、被保険者である子どもは、0歳から15歳くらいまでの会社が多いようです。これらは保険会社やプランにより異なるため、加入する前にきっちりと確認しておきましょう。

学資保険Q&A

学資保険に関する基礎用語や、その他の疑問点を解決していきましょう。

返戻率の計算方法は?

まず返戻率とは、支払った保険料の総額(元本)に対して、給付される満期保険金(祝い金含む)の割合のことをいいます。当然、高ければ高いほど元本にプラスされるのでおトクな保険ということになります。計算方法は簡単、

・満期保険金(+祝い金)÷保険料総額×100=

とするだけです。満期保険金が400万円で、保険料総額が380万円の場合、400÷380×100=105.26…で、返戻率は105%ということになります。

育英年金ってどんなもの?

育英年金とは、学資保険の契約期間中に契約者が死亡(または重度傷害)した場合、予定した満期時までは育英費用が支払われる保険のことです。

育英年金付きの学資保険は、契約者にとっても子どもにとっても、これ以上ない安心の内容と言えるかもしれません。しかし、保険料の返戻率が100%を割ってしまうこと、受取額が年間38万円を超えてしまうと所得税の対象になってしまうこと、さらに場合によっては健康保険の扶養親族から外れてしまうことなどデメリットもあります。

学資保険の契約者になれるのは親だけ?

祖父や祖母が契約者になれないことはありませんが、保険会社によっては年齢制限を設けているケースがあります。契約期間中に契約者にもしものことがあった場合、保険料の払込免除を適用したりと、負担の大きい措置を取らなければならないためです。従って、通常は両親のどちらかでの選択となるでしょう。なお、祖父母を契約者とし、保険金の受取人を子どもの両親にしている場合は贈与税の対象となるので注意が必要です。

ついでに、先程の「もしも」のケースを想定すると、契約者となるのは父親ではなく「若い母親」にした方が無難です。若い女性の方が保険料が安いためですが、他にも2つ理由があります。

一つは、一家の大黒柱である父親だからこそ、それなりの生命保険に加入するケースが多いからです。既に「もしも」の対策ができていると考え、もう一つの「もしも」である母親の不幸に備えるという意味で、契約者を母親に設定します。保障型の学資保険であれば、死亡・重度傷害保障を手厚くするのも手立ての一つでしょう。

もう一つは、離婚です。子どもに万が一のことがあった際に保険金が支払われる学資保険の場合、この受取人は契約者になります。離婚により親権を得るのは母親の方が多いためこれを前提にすると、契約者が父親ならば保険金を受け取るのも元夫にということになります。離別後でも双方がきちんと話し合いをし、意思疎通ができていれば問題ありませんが、たとえば一方に新しい家族ができていた場合などは、こじれの原因となりそうです。

やむを得ず学資保険を解約する場合でも、その権利は契約者または被保険者にしかないということも考えると、子どもの側にいる母親を契約者にしておいた方が無難だと言えるのではないでしょうか。

学資保険金には所得税がかかる?

保険金の受け取りには通常、税金が発生します。学資保険も例外ではなく、給付される満期保険金や祝い金は一時所得の対象です。一時所得とは、事業とは関連のないところから得た所得のことで、懸賞や福引の賞金などを例に挙げると分かりやすいでしょうか。ただ、学資保険の場合、ほとんどのケースでは税金がかかりません。一時所得の計算式を見てみましょう。

・一時所得=総収入金額-既支払い保険料-特別控除額(最大50万円)÷2

これだけでは分かりにくいと思うので、計算式に具体例を当てはめてみます。

【例1】満期学資金500万円(既支払い保険料480万円)の場合
500-480-50=-40(所得税は0円)

【例2】満期学資金1000万円(既支払い険料900万円)の場合
1000-900-50÷2=25(所得税は25万円)

【例2】のようにかなりの高額契約でない限り、最高50万円の特別控除が効いて課税の対象にはなりにくいのが現状です。既支払い保険料が500万円以上の契約をする場合は、一時所得のことも頭に入れたうえで契約してください。もちろん、学資保険以外にも一時所得がある場合はその金額も合わせての計算となります。何らかの不都合が生じるなら、プランを見直すなどして損のない選択をしましょう。

■育英年金の場合
育英年金付きの保障型を選んだ場合、契約者に万一のことがあった場合は、祝金や満期保険金に加え育英年金を受け取ることができます。このとき、年間38万円以上の祝金・育英年金を子どもが受け取ると「所得がある」とみなされて所得税の対象になります。結果、保護者の扶養家族ではなくなり、児童手当や医療手当等も受けれなくなる可能性があります。育英年金を選ぶ際はこうしたケースも想定してください。

5年ごと利差配当付保険とは?

学資保険のWebサイトやパンフレットには『5年ごと利差配当付』と書かれていることがあります。利差配当とは、予測した運用収益が実際の運用収益を上回った場合、その剰余金を配当金として契約者に分配する仕組のことです。5年ごと利差配当月保険とは、その収益期間の区切りが5年間であることを意味しています。

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