必ず覚えておきたい医療保険のややこしい基礎知識10選

病気、ケガなどで入院や手術をしたときの金銭的負担に備えて必要になるであろう給付金額を設定し、その保障内容に応じて保険金を支払う、これが医療保険です。保険の中でも注目度が高い商品であり、高齢化や医療財政の赤字が問題視されている昨今、「自分のことは自分で守る」という意識はさらに高まっていくでしょう。医療の高度化が進むことで死亡リスクは抑えられる反面、長生きすることによる病気・介護・経済リスクへの不安もそれを後押ししています。

各社ともそうした消費者のニーズをキャッチし、創意工夫を凝らした商品を販売。おかげで従来よりも安価かつ優れた商品が登場するようになりました。医療保険は、消費者にとって欠かせないものになりつつあるようです。

ここでは、そんな人気の医療保険をゼロから学んでいけるよう、必ず知っておきたい基礎知識を10つ選んでみました。

種類・特徴を知る

1.医療保険と医療保障は何が違う?

医療保険は大別すると2種類あります。ひとつは生命保険の医療特約として付帯されている『医療保障』で、これは主契約はあくまで生命保険であり、医療保障はその生命保険に厚みを持たせるオプションのような立ち位置です。もうひとつは、医療保障そのものが主役である『医療保険』です。単独商品であるため医療保障より割高になりますが、その分、保障内容は充実しています。

医療に対する保険はもともと医療保障、つまり生命保険にセットされた形が標準でした。しかしニーズの高まりや規制緩和などを受け、単独の医療保険が誕生したという流れです。医療保険の種類はさまざまで、女性特有の疾患に特化したものや、成人病やがんに的を絞ったものなど多彩にあります。なお、両者のうちどちらが優れているかは加入者のライフスタイルにより異なるため、一概に言うことはできません。

2.終身医療保険と定期医療保険とは?

文字通り、終身保険は一生涯にわたってその保障を約束するタイプで、定期保険は期間限定タイプのものです。
終身保険はさらに加入している間は継続して保険料を払い続けるタイプと、期間(60歳や65歳)までに保険料を払いきってしまうタイプに分類できます。前者は支払い期間が長くなる(であろう)分、毎回の保険料が割安ですが、収入が激減する定年退職後の支払いに不安がつきまといます。一方、後者は払い込んでしまえば安心を得られるものの、毎回の保険料は少し高くなります。

定期保険も2種類に分類することができます。「全期型」「更新型」です。全期型は本当に一定期間だけを保障するもので、保険料も一度決めてしまえば固定になります。このことから保険料が割安な若いうちに加入し、「満60歳まで」や「20年間」など長いスパンで契約を組むのが特徴です。

更新型とは、契約していた期間が過ぎるても更新が可能なタイプのもので、「5年」「10年」などあらかじめ設定された更新年月から選ぶことができます。ただし更新料はそのときの年齢により算出されるため、歳を重ねれば重ねるほど更新料が高くなってしまいます。メリットとして挙げられるのは、他の保険へ乗り換えやすいという点。たとえば若い独身男性などは、まずは更新型で短期間の保障に備えておき、結婚などを機に保険を見直すなどフットワークの軽い選択ができると思います。

3.医療保険の特約を簡単に教えてください。

医療保険の基本保障は入院給付金と手術給付金です。入金給付金は日額で支払われ、5000円~10000円が一般的。手術給付金は手術1回あたり、設定した入院給付金に手術の種類に応じた額(10倍・20倍・40倍)を乗じて支払われます。

さて、では特約にはどのようなものがあるのでしょうか。

1.死亡給付金
2.長期入院給付金
3.通院給付金・退院給付金
4.成人病特約
5.女性疾病特約
6.リビング・ニーズ特約

主なものをざっと並べてみました。

1は文字通り被保険者が死亡すると給付されるものです。2、3は主契約の保障をさらに手厚くするものですね。特約を付帯する分、保険料は増しますが、いざというときの経済的負担をは軽くなりそうです。

4はがんや糖尿病、心疾患など生活習慣病に指定された病気で入院すると給付金が支給されるもので、「がん」「急性心筋梗塞」「脳卒中」の三大疾病と呼ばれる病気に備えるものもあります。これらはニーズが高いため、『がん保険』『三大疾病保険』として独立した商品もあります。

5は、子宮筋腫、乳がん、子宮がんなど女性特有の疾病に対して給付されるものです。女性からすれば心強く、注目度の高い特約です。

最後のリビング・ニーズとは、生前中に死亡保険金を受け取れる特約のことで、一般的には医師から余命6ヵ月の宣告を受けた場合に適用されます。各社とも無料で付帯できるのが特徴で、加入している死亡保険金の一部または全額を受け取ることができます。ただ、この“余命6ヵ月”の告知に対しては問題点もあり(医師が診断書を書きしぶるなど)、改善すべてき課題の一つとなっています。

加入前の疑問を解決しておく

4.病歴があると医療保険に加入できない?

審査にクリアすれば加入できます。具体的には、過去5年間の病気・ケガ・入院歴の告知が必要です。保険会社も商売なので、給付の可能性が高い人を入れてしまうと採算がとれなくなる恐れがあるため、このような制約を設けています。では、審査に通らなかった人はなす術がないのかというと、そうではありません。5年以内の病気・ケガでも完治して一定期間経過していれば加入できるものや、告知内容の基準を緩めたもの、告知自体を必要としない(つまり誰でも加入できる)タイプの医療保険もあります。ただ、こうした条件付きタイプの保険は毎回の保険料が高かったり、給付金の支給に対して制限がも受けてあったりと、デメリットも含んでいます。

5.妊娠中だと医療保険には加入できない?

一般的には、妊娠中でも医療保険に加入することができます。しかしたいていは、部位不担保という制限が付くことになります。妊婦の場合は子宮に関する疾病が部位担保となり、帝王切開や切迫流産で入院した際の保険金が給付されません。だったらわざわざ妊娠前に加入するメリットはないように思えますが、万が一、第一子を通常分娩以外で出産した場合、その直後に医療保険に加入するのは難しくなります。医療保険加入時に告知する「過去5年以内に入院・手術~」の問いに「はい」と答えることになり、それが審査結果に響く可能性があるからです。

妊娠中に部位不担保の条件下で加入しても永遠に縛られる訳ではなく、1年後には自動解除されたり、2人目以降は保障してくれるタイプもあります。そう考えると、医療保険はできるだけ出産前に加入した方がメリットがありそうです。

6.保障の開始前に発病したらどうなるの?

保険会社が契約に基いて保障を請け負うのは当然ですが、契約完了前だとその責任は生じません。従って、責任開始期前の発病に保険金が降りる可能性は極めて低いと考えてください。では、保険会社の責任開始期とはいつのことでしょうか。基本的には「書類関係の不備のない提出」「保険会社の審査通過」そして「初回の保険料の支払い」の3つが終了した時点です。最近は保険会社の審査通過日を責任開始期とする保険もあります。

7.保障の開始後でも保障されないケースがある?

「6」で述べたとおり、条件がそろっていれば責任開始となりますが、実は責任開始期以降でも保証されないケースがあります。具体的には病歴の告知義務期間より前に発症した病気が再発したケースです。たとえば告知期間が5年の場合、10年前に患った糖尿病が再発しても保障されない可能性があるということです。保険会社により条件や対応は多少異なりますが、そうした現実があることは頭に入れておいてください。

賢く選ぶための基礎知識を知る

8.定期保険VS終身保険。おトクなのはどっち?

定期保険と終身保険の違いは「2」で触れたとおりです。では、お得なのはどちらでしょうか? これは加入年齢と短期・長期保証どちらを選択するかによります。

定期保険は短期間の保障に威力を発揮する保険です。若い間の保険なら定期型の方がメリットを得られるでしょう。しかしそれ以上の長期保障を望むなら終身保険がいいと思います。保険料が一定の終身型に対し、定期型は更新料が高くつくからです。若いうちは安かった定期保険の保険料も、更新を繰り返して加入していると累計額で損をする可能性が大です。逆に、長期保険60歳払い込みを選んでおいて短期間で解約すると損をしてしまいます。

9.5000円?1万円?入院給付金額の設定は?

入院には1日いくらかかるのでしょうか?生命保険文化センターの『生活保障に関する調査』(平成22年度)によれば、1日あたりの自己負担額は平均1万6000円のようです。ただしこれは治療費、食事代、さらには差額ベッド代(特別に用意される入院部屋代)やその他雑費なども含まれているため、そのまま鵜呑みする必要はありません。ある程度の貯金でカバーでき、可能な限り雑費がかからない人なら5000円でも十分だと思います。なにより、1ヵ月9万円を超えるような高額医療費は、国から助成金がおりる制度があるため(※)、1日あたりに換算しても3000円で事足ります。しかし、たとえば入院中は収入の保障がされない場合など、入院により懐具合が一変する危険性のある人は1万円~検討した方がいいかもしれません。
※詳細は『より深く学ぶ』の高額療養費制度の項目をご覧ください。

10.子どもが多い場合は家族型医療保険にすべき?

家族型の医療保険は、主契約者である被保険者に加え、その家族も保障の対象として設定する保険です。主契約者が死亡した場合でも契約は続行し、その家族には保障が継くというメリットがあります。さらに、子どもの人数に関係なく保険料は変わらないということから、子どもが多い家庭には嬉しい制度でしょう。一人ひとり保険に入るよりも断然お得です。

ちなみに、主契約者に万一のことがあった場合、その後に受けられる保障は各社さまざまです。保険料の兼ね合いもありますが、できる限り有利に働くようきっちりと比較・検討してください。

なお、家族型保険に似た言葉で『家族特約』がありますが、これは特約であるため、主契約者が死亡した場合は契約そのものが消滅してしまいます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>