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【がん保険】2人に1人がかかるのに販売するのは保険会社にとってリスキーではないのか?

がん保険のパンフレットなどを見ていると、「がんは2人に1人がかかる病気で……」等と書かれた文言をよく見かけます。確かに、がんは三大疾病に数えられるほどやっかいなヤツで、患うと大事に至りかねない危険な病です。そんな病気の罹患率が50%というのは、もはや脅威以外のなにものでもありません。ぜひとも保険に入って金銭的リスクだけでも回避したいところですが、ちょっと考えてみてください。

それほど高確率な病気を保障しておいて、保険会社は大丈夫なのでしょうか? 持病持ちな人や、危険な職業に就いている人の保険加入は断りがちな一方で、なぜ国民の半分が請求者になりかねない商品を販売しているのでしょうか?

このページでは、よく考えてみるととっても不思議ながん保険について調べてみたいと思います。

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「罹患率50%=がん保険が必要」に疑問

初めにハッキリさせておきたいのは、保険とは、どうしても避けたいリスクに対してかけるものということです。「保険は不幸の宝くじ」と上手い表現をする人がいますが、本当にその通りで、不幸(幸い)にも保険金がおりた際には、その損害を埋めるに足りる大きな支えがあるものを選ぶべきなんです。大したことのないリスクに備えて保険料を何十年も支払うなんて、どう考えても割に合いません。

冒頭で話題にしたがんの罹患率について考えてみると、確かに2人に1人という割合は事実です。しかし、このうち保険が必要なほどのケース、つまり高額な治療費がかかる割合はどの程度なのかも知る必要があります。ここで、保険会社大手のアフラックが2011年に実施した興味深いアンケートを見てみましょう。

がんの治療費は意外にかからない?

がん治療費表

右の表は、実際にがん治療をした『経験者が語る治療費』と、未経験者が『イメージで回答した治療費』のギャップを表したものです。いかがでしょうか。未経験者の多くが、がん治療に300万円はかかるだろうと想像した一方で、経験者の多くは50万円程で済んだと答えています。医療技術の進歩を讃えるとともに、『がん=重篤な大病』という固定観念の過ちに気づかされます。もちろんこれは単なる平均に過ぎず、回答した経験者のなかには、金銭的理由で仕方なく低額な治療法を選択した人もいるかもしれません。しかしこの時点で、「2人に1人がかかる=がん保険が必要」の構図は説得力に欠ける気がします。総額50万円は高額治療費とは言えません。いやそもそも、ひと月にかかる医療費の自己負担額は上限が決まっています。(高額療養費制度

がん保険が必要になる時期は限定的?

国立がん研究センターの統計によれば、がんで死亡する確立は男性26%(4人に1人)、女性16%(6人に1人)。ただしこれは0歳~80歳までを含む生涯確率で、年代別に見てみると10%を超えるのは60歳以上の高齢者になってからです。このなかで全ての人が保険診療のきかない治療をするとは限らないため、本当に保険が必要なケースは10%以下と考えていいでしょう。

この結果から、30代などの若い世代から保険料を支払い続ける意味は少ないと言えそうです。にもかかわらず、私たちは「いつ何が起こるか分からない」「全てのがんは重病」という、根拠としては乏しい不安からがん保険の加入を考えていないでしょうか?

筆者は、冒頭に投げかけた疑問の答えはほとんどここにあると思っています。「がんになる確率は高いけれど、民間の保険に頼る確率は高いとは言えない」「保険に頼るであろう時期は限定的なのに、(心理的に)保険料の支払い時期は長期に設定してしまう」。だからこそ、保険会社の商品として成り立つのではないかと考えています。がん以外にもさまざまな病気にかかるリスクがあるなかで、必要性と万が一を求めて保険に入るなら、がんを含む病気全般をカバーする医療保険の方を充実させた方が良いのではないでしょうか。

高齢の間だけがん保険を選ぶという選択は?

では「罹患率が高くなるシニア世代以降から入ればいいじゃないか」という声が聞こえてきそうですが、ご察しの通り保険料が非常にネックになります。それならば、若いうちからがん検診などにしっかりと通って予防に努める方がよっぽど理にかなっていると思います。そもそも、老後の医療保険が要らない3つの理由でも触れた通り、高齢者の治療費は国の制度により負担額が少なく設定されているため、年金受給者であれば医療保険そのものがやや不要だと考えています。どうしても不安だという人に限り、70歳になるまでの短期間だけでも定期型に加入するという選択もあります。現行制度では、70歳を堺に高額療養費の負担がぐんと楽になるためです。

がん保険に入るなら

がん保険の必要性に疑問を感じている筆者ですが、別に完全否定派という訳ではありません。そこでここからは、もし加入するならと仮定し、その際にチェックしたいポイントや、想定すべきリスク・保障などについて考えてみたいと思います。

診断給付金は1回きりか複数回か

がんと診断されると給付される診断給付金は、がん保険の要だと言っても過言ではありません。答えは簡単で、他の保険金よりも「まとまったお金」を「スピーディに」受け取ることができるからです。初期の段階で給付された方が気持ちにも余裕が出るでしょうし、いざというときにも役立ちます。そんな訳で、診断給付金はがん保険選びの最重要項目と位置づけておきます。保険会社もその点は十分理解していて、診断給付金は各社によって特徴があります。選ぶ側として絶対に確認しておきたいポイントは、「1回きり給付」か、再発時にも対応する「複数回給付」か、です。複数回に対応している場合は、その条件もしっかり見ておいてください。

さて、どちらの商品が優れているかは、「個人の考え次第」としておきます。普通に考えると複数回給付の方が使い勝手が良く感じますが、その代わり保険料が上がってしまうのがネック。それならば、1回きり給付を選び、給付金額を高めに設定して再発に備えるという手もあります。

他のチェックポイントとしては、上皮内がんでも診断給付金が出るかどうか、出るとすれば満額が出るのか等も確認しておいてください。

自由診療・先進医療のリスクについて

自由診療や先進医療で治療するケースも想定しておく必要があります。進行がんや再発・転移がんの場合、どうしても国内未承認薬や最先端技術を用いざるを得ないケースが出てきてしまいます。ところが、これらは公的保険の適用外であるため、使用すると全て自己負担となってしまうのです。自由診療に至っては、公的保険適用内の治療法と併用した場合、公的保険分まで全額負担となってしまうのですから、払う側にしてみればたまったものではありません(※混合診療と呼びますが、制度についての説明はここでは割愛します)。

抗ガン剤の投与は1回10万円前後、または数十万かかるとも言われています。10回以内で収まったとして100万円程度、大きく見積もって200万円は見ておいた方がいいでしょう。先進医療の治療費はピンきりですが、重粒子線治療や陽子線治療などは数百万円に昇ることもあり、貯蓄で対応できるレベルを越えています。

以上の理由から、診断給付金があるとはいえ、自由診療や先進医療に対する対策はしておいた方が無難だと考えます。先進医療特約はどの保険会社でも月額100円程度です。100円で1000万円クラスの保障が手に入るのですから、コストパフォーマンスは高いと言えますよね。まあ、少し意地悪な見方をすれば、月額100円であることが「給付の可能性が限りなく低い」「見栄えをよくするおまけ保障」であることを示しているのですが……世の中には万が一もあります。

なお、先進医療特約はがん保険ではなく、医療保険に付ける方がメリットがあります。がん保険だとがん関連の病気にしか対応できないためです。

自由診療については、今のところ診断給付金で賄うのが現実的だと思います。政府のドラッグ・ラグ(未承認薬を承認する時間差)解消に期待したいところですね。

保険料を押さえたい人はがん特約という選択も

ところで、がんに備える保険としては、がん保険の他にがん特約という選択肢もあります。保障内容としてはがん保険に劣るものの、診断給付金、抗がん剤や放射線治療に対応する商品もあります。医療保険であってもがんに対して一定の対策ができることから、保険料を押さえたい人はがん特約でも十分だと考えることができます。もちろん、特約とはいえ、いろんなオプションを充実させていくと割高になるので注意です。

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