自転車保険は加入者増加中?! ゼロから学ぶ乗り遅れないための基礎知識

賠償額は5000万円! 自転車を取り巻く事故の現状

なぜ自転車保険が見直されてきているのか。それには、昨今の自転車事故の発生状況を押さえておく必要があります。

警視庁がまとめた資料によれば、平成23年の自転車事故件数は14万4018件。交通事故全体の割合から見れば、5年連続で2割を越えて漸増傾向にあります。さらに自転車乗用中の全負傷者数は14万3110人で、これは交通事故全体の死傷者数の16.7%を占めており、そのうち4割は若年層だというデータが出ています。

事故原因で多いのは、自動車との出会い頭衝突や左折時事故などのほか、歩行者との接触事故も多く、ちょっとした気の緩みが大惨事に発展しかねません。万が一加害者になってしまい、莫大な額の損害賠償金が発生した場合、個人で対応しきれる人はごくわずかでしょう。自転車保険は、自分の身を守るだけでなく、被害を負わせてしまった人に対しても十分な償いをするために加入するのです。

■高額賠償事例

賠償額(※)事故の概要判決
5438万円成人男性が昼間、信号表示を無視して高速度で交差点に進入、青信号で横断歩道を横断中の女性(55歳)と 衝突。女性は頭蓋内損傷等で11日後に死亡した。 東京地裁
平成19年4月判決
5000万円女子高校生が夜間、携帯電話を操作しながら無灯火で走行中、前方を歩行中の看護師(57歳)の女性と衝突。 看護師には重大な障害(手足がしびれて歩行が困難)が残った。横浜地裁
平成17年11月判決
4043万円 男子高校生が朝、赤信号で交差点の横断歩道を走行中、旋盤工(62歳)の男性が運転するオートバイと衝突。 旋盤工は頭蓋内損傷で13日後に死亡した。東京地裁
平成17年9月判決
3138万円男子高校生が朝、自転車で歩道から交差点に無理に進入し、女性の保険勧誘員(60歳)が運転する自転車と衝突。保険勧誘員は頭蓋骨骨折を負い9日後に死亡した。さいたま地裁
平成14年2月判決

※賠償額とは、判決文で加害者が支払いを命じられた金額(上記金額は概算額)をいいます

日本損害保険協会調べ

トラブル別に見る自転車保険の補償内容

自転車保険の内容とはどのようなものなのでしょうか。自転車にかかわるトラブルとして、以下の3つが想定されます。

(1)走行中に他人に怪我を負わせる、器物を損壊する

(2)走行中に自らが怪我を負う

(3)自転車が盗難に遭う

(3)に対する補償は盗難保険。これは明解で分かりやすいですね。では、(1)と(2)はどうでしょうか。

まず(1)は個人賠償責任保険です。冒頭でも述べたとおり、気遣うべきは自分の身体だけでは不足です。自転車保険の加入を検討するのであれば、個人賠償責任保険は必須だと考えておくべできしょう。

注意したいのは、個人賠償責任保険は、自動車保険や火災保険、傷害保険などの特約として販売されているケースがあるということ。その場合、大本である保険を解約してしまうと、個人賠償責任保険も自動的に解約されてしまいます。

次に(2)ですが、これは傷害保険に分類されます。傷害保険は、国内外を問わず、日常生活で起こるすべての事故に対して補償される『普通傷害保険』が代表的ですが、補償内容を交通事故に限定した『交通事故傷害保険』もあります。自転車での傷害保険とは、これを自転車にかかわる事故に絞った商品であるため、他と比べて保険料が安価だという特徴があります。

意外と広い! 交通事故損害保険の支払い対象

交通事故というと、自分が運転中に起こす事故や、歩行中に衝突される事故などを思い浮かべがちですが、交通事故損害保険の適用範囲は意外に広いです。

交通事故損害保険とは、簡単にいえば、”交通乗用具に起因する事故”を補償する保険です。交通乗用具とは、自動車、電車をはじめ、自転車、ロープウェー、ベビーカー、そり、飛行機、船舶のほか、エレベーター・エスカレーターなどのことを指します。つまり、電車のドアに挟まれて怪我をしたケースや、エスカレーターに乗る際にこけて怪我をした場合なども支払いの対象に含まれます。また、「運転中に工事中のビルから資材が落下してきて怪我をした」なんていう場合も補償範囲内です。こういった事実を知らずにいると請求漏れになってしまうので、対象となるケース、ならないケースを保険会社によく確認しておいてください。

自転車保険での傷害保険は、この交通事故損害保険を補償するものと、自転車搭乗中の事故のみを補償するものの2つに分かれます。

“自転車向け”の傷害保険プランについて

実は、保険会社の多くは、自転車総合保険と呼ばれる、自転車保険「単体」の販売に積極的ではありません。補償内容はそれなりに充実しているのに、保険料は安い、そのうえ事故件数が多いとくれば、保険会社に旨みはないため、当然といえば当然でしょう。

その代わり打ち出しているのが、『自転車向けプラン』等と銘打った、交通事故傷害保険+個人賠償責任保険のセット商品です。これらは自転車事故だけでなく、先程説明した交通乗用具にかかわる事故も補償対象としているのが特徴です。各社さまざまなプランを販売しているため、見極めたいのは補償内容と金額のバランス。個人型、家族型を含め、しっかりと確認しましょう。また、個人賠償責任保険の場合、既に他の保険に加入していて、その特約で似たような商品にお金を払っていないかも注意してください。

ちなみに保険料についてですが、最近では月額100円から加入できる商品が登場し話題を呼んだことから、各社とも採算面を考慮しながらさまざまな見直しを行なっています。具体的な内容や金額については、ランキング・評価で触れていきますのでそちらをご覧ください。

意外とレアな自転車の盗難保険

自転車の盗難保険は、需要と供給のバランスがマッチしているとは言い難い商品です。

クルマやバイクに比べ、軽量で無防備な自転車は盗難に遭いやすいため、保険会社が対処しきれないことが主な原因だと考えられます。また、盗難補償はあるものの、期間が限定される、全額補償ではないなど、制約を受けることが多いようです。

どうしても心配な人は、防犯登録をしておくことはもちろん、メーカーの盗難保険に加入するか、自動車保険や火災保険の特約にある盗難補償を利用するなどして対処しましょう

自転車保険を販売しているメーカーについては、より深く学ぶで触れていきたいと思います。

コンビニやケータイからでも加入できる

既に述べたように、損害保険会社は、自転車保険の新規加入に対し消極的な姿勢を取ってきました。保険料が安く採算面が合わないことから、自動車保険のような代理店方式での販売も割に合いません。

そうしたなかで登場したのが、携帯電話から手軽に加入できる商品や、一部コンビニエンスストアのマルチコピー機(コピー・FAXに加え、各種プリントやチケット購入等、各種サービスが利用できるもの)を使って加入する商品です。また、インターネットのみで販売されている商品もあり、各社さまざまな工夫を凝らしています。

注意したいのは、手軽に加入できるからといって、補償内容の確認をおろそかにしないこと。保険金はどんなケースで、いくらほどが支払われるのか。あるいは支払われないケースはどんなときなのか。後々になって悲劇を見ないためにも、入念にチェックしておきましょう。

事故を起こしたときの簡単な流れ

まずは警察に連絡。その後は焦らず、速やかに加入している保険会社に連絡しましょう。コールセンターは24時間365日対応しています。なかにはインターネットで事故報告を受け付けている会社もありますが、対応にスピーディさを求めるなら、やはり電話で知らせるのが良いでしょう。ただし、24時間対応といっても、朝方や夜中だと迅速に駆けつけてくれるとは限りません。

保険会社の担当者と連絡がつき、事故状況などの説明が済めば、後は担当者の指示に従いましょう。このとき疑問点があればうやむやにはせず、しつこいくらい確認しても構いません。後々、請求漏れなどがないよう、しっかりと自分のやるべきことを把握しておいてください。

【要確認!】保険金がおりないケースいろいろ

クルマと違い、自転車保険の適用は限定的な規定が設けられていることがあります。各社により基準は異なりますが、一般的に保険が適用されないケースについて見ていきましょう。

・本人に致命的な過失があるとき

たとえば、飲酒運転や薬物服用での心神喪失状態。法律で禁じられているような行為に、保険金が支払われるはずもありません。また、喧嘩など、暴力的な行為の延長線上にある事故も対象外となります。

・保険金目的の意図的な事故

先程同様、言語道断のケース。たとえ少額であろうとも、保険金を受け取ることは不可能です。

・自然災害

地震や噴火など、自然災害による事故には適用されません。

・同居する親族に対する事故

親族同士の事故では保険金はおりません。保険金目的の意図的な可能性を消去できないためだとされています。

・第三者の所有物であるとき

他人の自転車で事故を起こした場合、保険金が適用されないことがあります。

・職務遂行にかかわる事故

自転車での営業活動など、職務遂行と強く結びついている場合、保険がおりないようです。

・自転車レースでの怪我

いわゆる自転車向けプランでは補償外であることが多いです。これをカバーするには、一般的な傷害総合保険に入る必要があります。他には、財団法人スポーツ安全協会のスポーツ安全保険という手もあります。スポーツ安全保険については、別頁のさらに学ぶで触れていきたいと思います。

・レンタル自転車での事故

レンタル自転車ショップに自転車保険加入の義務はありません。従ってこれはショップ次第ということになります。心配な人は、レンタルする前に保険加入の有無について尋ねてみましょう。

・電動自転車の場合

電動自転車には、アシストタイプとフルアシストタイプの2種類があります。速度補助の一部をしてくれるアシストタイプは自転車のカテゴリーに位置しますが、フルアシストタイプは原動機付自転車と同じ扱いになります。よって自賠責保険の加入が必須であり、自転車保険の範疇で補償できるものではありません。

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