火災保険の基本を理解する7つのポイント

火災保険は住まいにかける損害保険です。損保会社で「○○火災」という社名がよくあることからもわかるように、火災保険は損害保険の代表的なものです。火災保険という名前でも、対応するリスクは火災だけではありません。落雷や台風、大雨、盗難なども範囲に入ってきます。そのため最近は、「住まいの保険」「マイホーム保険」などという名前で販売されていることがほとんどです。

後述しますが、「家財保険」と呼ばれているものも、火災保険です。火災保険は「家に関して損害が発生した場合の保険」と理解しておいて間違いないでしょう。意外と知られていない火災保険のしくみを基礎から解説していきます。

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火災保険の対象は「建物」「家財」の2種類

火災保険は、「保険の対象(目的)」と「補償の範囲(対応するリスク)」から整理することができます。

まず「保険の対象(目的)」ですが、火災保険では住まいを

・建物

・家財

の2つに、分けて考えます。

建物・家財両方に保険をかけることもできますし、どちらかだけにすることもできます。

保険の対象(目的)に家財がある場合の火災保険を、特に、「家財保険」と呼ぶことがあります。家財にだけ保険をかけるのはだいたい賃貸マンション・アパートに住んでいるひとです。賃貸の場合、建物は自分のものではありませんから、住人が建物に保険をかけません(大家さんがかけます)。そのため、「団地保険」や「マンション保険」といった名前で販売されている家財保険もあります。

つまり、家財保険とか団地保険とかいう保険は、実際にはすべて火災保険です。

また、個人の住宅と、店舗や事務所では、入れる保険が違います。一般に火災保険と呼ばれているものは個人の住宅用。店舗や事務所の場合は利用できず、かわりに「店舗総合保険」という保険に入ります。自宅なのだけれど、一部を店舗や事務所に使用している「自宅兼店舗(事務所)」という場合も、個人の住宅ではなく店舗総合保険の対象になります。

火災保険は「火災」のためだけじゃない

次に、補償の範囲についてです。

火災保険は、火災によって住まいに損害が発生したときにそれを補償してもらうための保険ですが、火災だけでなく、落雷や爆発の被害も補償されます。台風で物が飛んできて窓ガラスが割れたとか、大雪が積もってひさしが壊れた、といった風災・ひょう災・雪災も範囲に入ります。

火災や風災は、住まいが損害を受けるリスクとしては代表的なものですが、その他にも考えられるリスクはいろいろありますよね。洪水などの水災もそうですし、自然災害だけでなく、水漏れなども集合住宅ではよくある問題です。また、盗難も大きな心配のひとつでしょう。そうした、もっと幅広いリスクに備える火災保険もあります。

そうした、対応できるリスクの範囲が広い火災保険を「住宅総合保険」と呼びます。それに対して、火災・落雷・爆発・風災・ひょう災・雪災といった基本的なリスクのみに対応するものを「住宅火災保険」と呼んで区別しています。どちらも「火災保険」ですが、その中での分類ということです。

先に述べた「家財保険」は、保険の対象による区別ですのでこれとは関係ありません。「住宅総合保険」でも「住宅火災保険」でも、家財を対象としていない(建物のみの保険)なら、家財保険とは呼びません。

補償の範囲をもっと細かく見ていくと、たとえば、風災であっても、損害額が20万円以上でないと補償されないなど、免責が設定されていることもあります。このあたりは保険会社の商品によって違うところですので、確認が必要です。最近は、補償の範囲を広げ、単純な損害金だけでなく、たとえば火災後、一時的にホテルや仮住まいを利用した際の費用なども補償対象にしたり、日常的なカギの紛失や水まわりのトラブルへの対応サービスを付帯したりといった商品もあります。そういった補償範囲の広い火災保険を、「オールリスクタイプ」などと呼ぶこともありますが、これには明確な定義があるわけではありません。最近は、保険会社によっていろいろ違いのある火災保険があるという理解でいればOKでしょう。細かく、保障の範囲をカスタマイズできる商品も増えています。

必ずおさえておきたい重要な点として、地震を原因とする損害は、火災保険では補償されません。地震があると、火災が発生することがよくありますが、この火災による被害は、同じ火災でも火災保険の補償対象外なのです。津波も同様です。地震を原因とする被害はすべて「地震保険」によって補償されます。地震保険は、火災保険に付帯する形で加入するもので、火災保険に入らずに地震保険だけに入ることはできません。また、地震保険は国(財務省)によって運営されている制度で、どの保険会社の火災保険に付帯しても保険料などは一律です。

火災保険・家財保険・地震保険の守備範囲を図で整理すると以下のようになります。

火災保険の分類

戦争や暴動による被害などはどんな火災保険でも補償されません。

「ただし、○○は対象外です」と言われると、なぜダメなの?という気になりますが、保険は、保険会社が損害が起こる確率を統計などから予測することで、保険金の準備をしているものです。普通の火災と、地震による火災とでは起こる割合はかなり違います。これを一緒にしてしまうと、正確な予測ができないので、対応するためにはかなり多めに見積もった保険金準備が必要になり、保険料を上げざるをえません。保険料と補償のバランスを適切にするため、これは仕方のないことなのです。

保険金額は建物や家財の価値のぶんだけ

生命保険では、死亡保険金が1000万円なら1000万円と、金額から先に決めてしまいます。希望するなら、おおむねいくらでも好きな金額に設定することが可能です。火災保険の場合はまったく好きな金額を設定するということはできません。対象は人ではなく、住まいという「物」なので、そのものの実際の価値=補償すべき金額を評価して、保険金が決められることになります。生命保険とは違って、実際の損害額のぶんだけを補償するのが損害保険の基本。家が火災にあって、もらえる保険金が、もとの家の価値よりも高い金額であるということはありえないのです。

生命保険は、保障額が足りないなどの理由で、同じ人が複数の保険に入る場合がありますが、火災保険ではそういうことはありません。仮に、ひとつの住まいにいくつもの火災保険をかけても、支払われる保険金は一定です(複数の保険会社間で金額を分担して支払われます)。ですので、原則として、火災保険はひとつの住まいについてひとつだけ入るものだと言えます。

(1)建物の保険金

建物の保険金額を決める住まいの価格の評価方法は、2種類あります。

・時価

時価は、今現在の値段、ということです。家は建ててから年数が経つにつれ、古くなっていきますから、その価値も下がっていくと考えます。その、年数に応じて価値が下がっていくことを加味した評価額が時価です。当然、新築の際の建築費を下回る金額になってしまいますから、いざ保険金が下りたときに同等の建物を建て直すだけの金額は得られません。

・再調達価額(新価)

対象のものを、今から再び購入する場合に必要な値段が再調達価額(新価)です。同等の住まいを建て直したり購入したりするのに必要なだけの保険金を得ることができます。最近の火災保険は、再調達価額で保険金を設定することが多いようです。

いずれの場合も、建物の評価額は建築費をもとに決まります。建築費がわからない場合は、保険会社が面積ごとの単価を基準として定めていますから、それをもとに計算することになります。

(2)家財の保険金

家財については、実際に、家財ひとつひとつの価格を足していく方法と、世帯主の年齢と家族構成から平均的な価格を算出する簡易評価とがあります。(※簡易評価の例:世帯主30歳・夫婦+子ども1人の家庭……およそ800万円等)

ただし、貴金属、美術品など、ひとつが30万円を超えるような特別な価値があるものについては、「明記物件」と呼ばれ、あらかじめ保険会社に申告しておかないと補償の対象に含めることができなくなります。また、現金や有価証券は家財には含まないとするか、限度額が決まっています。自動車は家財に含まれないのが基本ですが(自動車が損害を受けた場合は自動車保険の範疇になるからです)、保険会社によっては明記物件として扱える場合もあるようです。

(3)費用の保険金

建物・家財の損害とは別に、火災などの際に発生する費用的な負担を補償する保険金がある場合もあります。具体的には、家が火事になった場合、その家には住めなくなってしまいますから、一時的にホテルや仮住まいを利用しなくてはならなくなるでしょう。そのための費用は、住まいそのものの損害金額とは別です。この費用部分の補償を、たとえば「保険金額(住まいの損害の補償額)の5%」などと決めて支払われるのが費用保険金です。

つまり、火災保険の保険金は、「建物の保険金+家財の保険金+費用の保険金」からなっているということです。(契約によって、建物だけ、家財だけ、ということもあるのはすでに説明したとおりです)

※火災保険の保険金はつねに全額が支払われるとは限らない

ここで、注意しておいてもらいたいのは、設定した保険金は、火災があったからといってつねにその額がそのまま支払われるものではないということです。

そう聞くとなんだかおかしい気がしますが、損害保険は受けた損害のぶんだけを補償するというのが原則です。火災保険をかけていたからといって、家が全焼してしまった場合と、すこしの小火ですんだ場合とで、同じ額の保険金が支払われるのはおかしいでしょう。支払われる保険金も、実際の被害をもとに判断されるのです。

具体的には、損害額から自己負担額を引いたものが、損害保険金として支払われます。費用保険金がある場合は、損害保険金を基準にそれとは別に支払われます。

自己負担額とは、契約時に決めておくもので「このくらいまでの損害額であれば保険は使わずに自分で負担します」というものです。免責金額とも言います。自己負担額を0に、つまりどんな場合でも、該当する損害があれば保険金が支払われるようにすることもできますが、自己負担額が少ないほど、保険料は高くなります。自己負担額は定額の場合と、割合で考える場合とがあります。

以上のようなしくみですので、建物や家財の価値を評価して決めた保険金額は、「もしもの場合にもらえる金額」と言うよりは、どちらかというと「もしもの場合にもらえる金額の『上限』」と理解したほうがよいかもしれません。

他人に対する賠償金は補償されるの……?

火災は、自分の家や持ち物が被害にあうこともさることながら、ご近所に迷惑をかけてしまうことも心配ですね。賃貸に住んでいる場合で、部屋で火事を起こしてしまったら、大家さんに対する責任も発生するでしょう。こういった場合も、火災保険で補償が受けられるのでしょうか?

実は、火災保険は、原則としてかけた本人のためのもの。保険の趣旨としては、他人への賠償金などは範囲に入っていません。

そもそも、失火法という法律により、故意であったり、大きな過失があったりしない限り、ある人が起こした火事で他人が被害を受けても、被害を受けた人は火元の人に責任を求めることはできないとされています。そんなバカな!という気もしますが、これは、もともと日本では木造家屋が多く、火事の被害が大きくなりがちなので、その責任を個人に負わせるのは過酷すぎるということで決まった法律であるようです。とはいえ、だからといって現に自分が出した火事で近所に迷惑をかけておいて知らん顔というのはなかなかできませんよね。

そしてもちろん、過失があった場合は賠償責任を問われることもあるわけです。実際のところ、火災の原因は、寝たばこであるとか、てんぷらを揚げていて目を離しているうちに油に引火したといった、過失であることが多いでしょう。

そこで、火災保険には、個人賠償責任保険を特約としてつけることができるようになっています。

この特約があれば、賠償責任を追及された場合にも保険金でまかなうことができます。ただし、個人賠償責任保険は、あくまでも賠償責任が発生した場合の保険ですので、失火法上の責任がない場合(重過失でない場合)は、この保険は使えません。とはいえ、類焼させてしまった隣家などに対して無視するわけにもいかないのが人情でしょうから、これについては「類焼損害担保特約」という特約を用意します。また、費用保険金の中に、見舞金費用が含まれていることも。

なお、個人賠償責任保険は、自動車保険に付帯されていることもあります。自動車保険付帯のものであっても、火災がもとで発生した損害賠償に対して保険金は支払われます(自動車事故にまつわるものだけではないということです)。ですから、すでに自動車保険に入っていて、個人賠償責任保険を付帯している場合は、火災保険への付帯は不要な場合があります。

ただし、「特約」はもとの保険(「主契約」と言います)のオプションですから、自動車保険の特約は自動車保険を解約すると消えてしまいます。その点だけ注意しておいて下さい。

火災保険の保険料はこうして決まる

火災保険の保険料は、補償の範囲と保険金額、特約の有無などのほか、以下のような要素によって決まってきます。

・建物の構造

木造の住宅と鉄筋コンクリートの住宅とでは、どちらが火災に強いかは一目瞭然ですよね。建物の構造と火災のリスクは深く関係しています。そのため、保険料も、住まいの構造によって差がつくしくみになっています。火災に強い構造であるほど、保険料は安くなります。具体的には、建物を3つに分類して考え、保険料に反映されます。

M構造 耐火構造の共同住宅(マンションなど)。
T構造 コンクリート・レンガ・石・鉄骨造建築物。省令耐火建築物。
H構造 M構造でもT構造でもないもの。

M→T→Hの順で保険料は高くなっていきます。M構造とH構造とでは4~5倍ほどの開きがあるようです。

それぞれ、厳密な定義があるのですが、おおざっぱに言えば、まず、マンションはM構造と思っていただいて大丈夫です。戸建で、木造である場合はH構造である可能性が高いのですが、省令耐火建築物にあてはまるのであればT構造になります。戸建のコンクリート造などはT構造です。

普通に考えて、木造は火災に弱いですから保険料が高くなってしまう、というのは想像がつくでしょう。ですが、木造でも耐火性があると認められたものはT構造になる可能性があります。2×4工法などは木造でもT構造にあたります。

この構造の分類は2010年から使われているもので、それ以前は別の分類基準にもとづいていました。2010年の1月以前から火災保険に加入しているひとは、もしかすると、今の基準に照らし合わせると保険料が安くなる場合がありますので、調べてみると良いでしょう。建物の構造は、「建築確認申請書」の第四面に記載されています。この書類は、住宅引き渡しのさいに建築会社から渡されているはずですので、戸建の住まいに火災保険をかけるときは、この書類を探してみて下さい。

・面積

建物の面積が広いほど保険料は高くなります。集合住宅の場合も占有面積が影響してきます。

・住所

火災保険は、自然災害により発生する損害も対象です。自然災害は地域によって起こる程度が異なるので(雨が多い地域のほうが、大雨の被害は起こりやすいですよね)、住所(都道府県)によって保険料は差がつくことになっています。

・保険期間

火災保険は、自動車保険のように1年ごとの更新、などと決められているものではありません。何年の契約にするかは選ぶことができます。保険会社としては、長く自分のところに加入して保険料を支払ってほしいので、長期の契約をする人には保険料を割り引いてくれます。そのため、保険期間が長いほど、保険料は割安になっていきます。

・家族構成

先にも少し説明しましたが、家財の補償額は世帯の人数などをもとに算出する場合がありました。その意味では家族構成も保険料に関係すると言えます。

・各種割引

保険会社によって、いろいろな割引の制度が設けられていることがあります。たとえばオール電化の住まいなら保険料が割り引かれるオール電化割引。世帯の誰もがタバコを吸わない場合に適用されるノンスモーカー割引などを設けている保険会社もあります。これはもちろん、ガス器具を使わない、タバコを吸わないほうが火災のリスクが少ないためです。最近の保険の流れであるリスク細分型の考え方が火災保険にも用いられているわけです。

火災保険には、いつ・どうやって入る?

ほとんどの人は、賃貸の住まいに入居するときに不動産屋さんからすすめられて、あるいは家を購入するため住宅ローンを申し込んだときに金融機関の人から言われて入る、というパターンだと思います。車を買ったときにディーラーの人から自動車保険(任意保険)をすすめられるのと同じですね。

住宅ローンは、火災保険への加入が申し込みの条件になっていることも普通です。ローンの貸し手としては、万一、家が燃えてしまっても貸したお金は返してほしいので、補償が必要となるわけです。ローンの条件として加入を求められる火災保険では、お金を貸し出している金融機関を「質権の第一位とする」とされます。これはどういうことかということ、ローンの対象の家が火災にあって保険金が下りた場合に、その保険金は金融機関のものになってしまうということです。

保険料はもちろん本人が払わなくてはならないのに、なんだか釈然としないかもしれませんが、ローンが終わるまでは本当の意味では家は自分のものにはならない、ということで理解するしかありません。

不動産屋さんや大家さん、金融機関のもとめで火災保険に入る場合も、必ずしも、その人たちにすすめられた保険会社の火災保険でなくてはならないとは限りません。一定の条件さえ満たせば、別にどの保険会社でもいいという場合がありますから、言われるままに加入するのではなく、自分でよく考えたほうが良いでしょう。

どうせ入るのなら補償内容なども吟味して選んだほうが、保険料も節約できる可能性があります。

なお、住宅金融支援機構など公的機関から融資を受けて家を買った人は、自動的に特約火災保険という火災保険に加入しています。特約火災保険は保険料は安いのですが、建物に対するのみの保険なので、家財に対する補償は別に必要です。

保険の申し込み方法についてですが、実は、火災保険は自動車保険のようにインターネットからすぐに申し込めるという会社は少数です。基本的には、保険会社のサイトから営業店や代理店を探して個別に問い合わせる必要があり、若干、面倒なしくみになっています。いくつかの保険会社を比べてみたい場合は一括見積サイトなどを利用したほうがいいでしょう。

まとめ:火災保険を理解する7つのポイント

(1)「火災保険」と言っても、補償の範囲は火災だけじゃない。風災や水災、盗難など幅広い「住まいのリスク」に備えるための保険。

(2)火災保険は「建物」と「家財」のどちらか、または両方にかける。

(3)「家財保険」は「家財」が補償の対象になっている火災保険のこと。

(4)地震を原因とする損害は火災保険では補償されない。別に地震保険に入る必要がある。地震保険は単独では入れず、つねに火災保険とセットで入る必要がある。

(5)火災保険の保険金額は建物や家財の評価額から決まる。

(6)保険金は設定金額を上限として、実際の損害額のぶんだけが支払われる。ご近所への賠償金などは個人賠償責任保険の特約などで補償される。

(7)火災保険の保険料は補償内容のほか、建物の構造、面積、住所、保険期間、家族構成などによって決まる。

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