5分でわかる個人年金の基礎知識

個人年金保険と老後資金づくりに関係する基本的な知識を、Q&A形式で解説していきます。

Q:個人年金保険ってなんなの?

A:老後に受け取れる年金を、自分で用意できる金融商品の一種です。

「年金」という言葉は、本来は「毎年定期的に受け取るお金」という意味。反対語は「一時金」(一度だけ受け取るお金)です。一般的に「年金」と言えば、老後に、生活資金として継続して受け取るお金のことを意味していて、だいたいは「公的年金」のことを指しています。

個人年金保険は、公的年金とは別の年金を受け取るための金融商品で、保険会社で扱っています(一部、銀行や証券会社が窓口になっている場合もあります)。会社ごとにいろいろな商品があって、それぞれ、違いがあります。

保険会社に申し込んで、保険料を支払うと、あらかじめ決めておいた老後の一定期間、年金を受け取ることができます。

Q:保険とつくけど保険なんですか? 生命保険とは違う?

A:保険の一種ですが、保障よりも運用が目的です。

生命保険や医療保険は、支払った保険料をいざというときの保障に使うものですね。個人年金保険はそれらとは違い、保険料を運用してもらい、年金として受け取ることが目的の商品です。

普通、保険と言えば、万一の場合の備え、というイメージがありますが、もともと保険には、貯蓄・運用の機能があって、生命保険の中にも、満期になるとそれまで支払った保険料に利息がついて戻ってくるタイプのものがあります。個人年金保険は、そうした「お金を貯める・ふやすこと」をおもな目的にした保険なのです。

なんだかヘンに感じるかもしれませんが、保険とは「リスクに備えるもの」です。病気になったり亡くなったりするのもリスクですが、「歳をとって長生きする」ことも、そのぶんお金が必要になるという意味ではリスクの一種と考えられるのです。個人年金保険は「長生きするリスク」に備えるための保険だと言えます。

Q:国の年金とはどう違う?

A:自分の意志で入る年金で、民間企業の運営ですので国の制度よりはリスクがあります。

まず年金の制度について、おおざっぱにまとめますと、国の年金=公的年金は、すべての人が加入している「国民年金」と、会社員のための「厚生年金」、公務員のための「共済年金」があります。国民年金は、二十歳以上の国民は全員加入が義務づけられています。厚生年金・共済年金も、制度のある会社で働く場合や公務員になった人だけが入るものですが、自分の意志というよりは立場に応じて入ることになる年金制度です。

それに対して、個人年金保険は「私的年金」と呼ばれるもので、自分の意志で加入する年金制度です。逆を言えば、必要ないと思ったら利用しなくても構いません。

公的年金が国によって運営されているのに対して、個人年金保険は保険会社によって運営されています。最近は、公的年金も破綻するのではないかと囁かれたりしていますが……それでも国の制度ですから、できるだけ破綻などのないよう、政府が責任を持っています。

私的年金である個人年金保険は、民間企業である保険会社が運営しているのですから、運営もとが倒産してしまうリスクがあります。実際には、そういった場合も加入者救済のためのセーフティネットは設けられていますが、国が運営している制度よりはリスクがあるということになります。

細かな点での違いはいろいろありますが、「保険料を支払って、老後に年金を受け取る」という基本的なしくみは同じです。

Q:国の年金は実際はいくらもらえるの?

A:国民年金は年額80万円弱。厚生年金・共済年金は人によって変わります。

将来、公的年金からいくらもらえるか、気になりますよね。
まず、すべての人が加入している国民年金ですが、これは

年額786,500円(平成24年度)

受け取れます。ただし、これは「満額」です。20歳以降60歳までの間に、保険料を払わなかったり、免除されたりする月がある場合は、そのぶん減額されます。また、インフレやデフレなどの経済状況によって額は調整され、増減します。

上記の額がもらえるとしたら、年80万円弱、月にして約6.6万円ということになります。
自営業の人などは国民年金だけですから以上になります。

会社員・公務員の人は、このうえに厚生年金・共済年金がプラスしてもらえます。
厚生年金・共済年金については非常に複雑な計算をする必要があり、人によって額が変わってきます。ここではおおざっぱな目安を紹介しましょう。
平均月収が30万円だった人が40年間働いていた場合、

年額789,000円

になります。だいたい国民年金と同じくらいですね。この人のケースだと、国民年金と合わせて、年額160万円程度、月額で13万円程度がもらえる年金ということになります。

Q:個人年金保険だといくらくらいもらえるの?

A:利率と掛金次第です。また、受け取り方もいろいろあります。

個人年金保険の場合、支払う保険料(掛金)は、一定の範囲から加入者が決めることができます。月1万円からコツコツ……という人もいれば、ちょっとがんばって3万円くらい支払う、という人もいるでしょう。多く支払えば、そのぶん、もらえる年金額も大きくなります。これはあたりまえですね。

しかし、ただ単に支払った額がそのまま年金額になるわけでは、もちろんありません。それだったら単なる貯金と一緒です。支払った総額よりも、もらえる年金総額のほうが多くないと、個人年金保険に加入する意味がないわけです。この、支払った額に対して、もらえる額がどのくらい増えているか、という利率を、返戻率と言います。返戻率は個人年金保険を選ぶうえでもっとも重要なポイントです。

返戻率は商品や運用期間によって変わってきますが、110~120%の範囲になるのが標準的です。

個人年金保険に加入する際は、あらかじめ返戻率をチェックしておくことはもちろん必要ですが、「この保険ではいくらもらえるのか?」というよりも、「老後にいくら必要か(いくら足りないか)」を把握したうえで、その不足分を補えるような個人年金を準備する、というのが適切な考え方だと思います。

なお、公的年金は、原則として生きている限りもらい続けることができますが、そういう受け取り方の年金を「終身年金」と言います。
個人年金保険の受け取り方(支給のされ方)は3種類あります。

・終身年金
・確定年金
・有期年金

終身年金は、公的年金と同じく、生きている限り受け取れる形式。
確定年金は決められた期間、生死に関係なく受け取れます。有期年金は、決められた期間、生きている限り受け取れるというものです。

商品の中には夫婦年金といって夫婦で加入し、どちらかが生きている限り受け取れる、というものもあります。

Q:結局、いくらあれば老後は安心なんですか?

A:高齢者世帯の月の支出が約22万円という統計があります。

老後に必要な資金とは、老後の生活にどれくらいの支出があるか、そしてどれくらい長生きするのか、ということに左右されます。日本人の平均寿命は男性でおよそ80歳、女性で85歳くらいです。平均的な支出×長生きする年数ぶんの資金が用意できれば安心と言えます。

生活スタイルは人それぞれですので、支出も個人差が大きいですが……統計を見てみましょう。総務省の統計(高齢者の家計 http://www.stat.go.jp/data/topics/topi544.htm )による、高齢者(65歳以上)で無職の世帯の毎月の支出は22万7,000円が平均です(平成22年の統計)。

あくまで平均ではありますが、総じて、歳をとってくると医療費の割合が高くなるなどの傾向があるようです。

公的年金による収入が国民年金・厚生年金合わせて月13万円程度だと想定すると、かなり不足してしまいますね。実際には支出はもっと切り詰められたり、公的年金ももっともらえる場合もあるでしょう。また、生活スタイルもさまざまですから、生活費も人によって違います。公的年金だけでは絶対に暮せない、とは言い切れませんが、足りなくなる可能性はつねにあります。

特に、自営業の人などは、年金が国民年金だけですから、厚生年金・共済年金のある会社員・公務員に比べると不足する可能性が高いと言えるでしょう。

老後の資金計画は、足りなくなる場合を想定してを立てる必要があり、公的年金を補うために個人年金保険をはじめとした私的年金が存在するのです。

Q:国の年金、個人年金保険以外の老後資金の準備方法は?

A:最近、注目されているものとしては確定拠出年金などがあります。

老後資金の準備というのは、要は老後時点でお金があればいいということなので、コツコツ貯金するのも立派な準備と言えます。銀行の預金は利回りの面でメリットがないのですが、元本が保証されているという強みがあります。

外貨預金などは普通預金よりリスクは高まりますが、利回りの面ではいくぶん期待が持てます。

他にもさまざまな金融商品があって、老後資金づくりに利用することができます。ただし、いつか必ず必要になる資金ですから、株やFXといったリスクの高いものはあまり向いていないと言えます。

個人年金保険のような私的年金の仲間としては、確定拠出年金が、最近、話題になっています。

これは、資金を少しずつ積み立てて、それをいろいろな形で運用し、ふやしたお金を将来の年金にするというしくみで、退職金のかわりにこの制度を用意する会社が増えています。勤め先に制度がない場合や自営業者の人も、個人型の確定拠出年金に入ることができます。

個人年金保険は、保険料を支払ったあとは、そのお金がどう運用されているのかは保険会社任せです。確定拠出年金は運用の仕方を自分で決める、というところが特徴です。

Q:個人年金保険を利用するメリットを教えて!

A:保険料が控除になり、節税効果もあることなどです。

個人年金保険は、利率だけに注目すれば非常に有利とまでは言えないものです。普通預金よりはマシですが、もっとリターンを見込める運用方法はあるでしょう。ですが、リターンの高い運用方法にはリスクもあります。

個人年金保険のメリットは、支払う保険料が、一定額まで、生命保険料控除として申告することができ、所得税や住民税が軽減されることです。

どの程度の節税になるかは、もともとの収入の額などによって違います。年間の所得が300万円の人であれば、なにも控除がなければ約20万2500円の課税になります。個人年金保険に加入していれば、上限で4万円の控除になり、所得を296万円として計算でき、この場合課税額は19万8500円。(※実際には他の控除もありますが、ここでは省いて考えています)

少しですが、課税額が減りましたね。所得税は所得が多いほど税率が高くなるため、多く課税されていた人ほど得することになります。

リターンはそれほどでもなくても、節税できたぶんを合わせると同じ利率のほかの運用方法に比べてお得だということにになりますね。

Q:個人年金保険にデメリットはないの?

A:インフレに対応できないことと保険会社破綻のリスクがおもな弱点です。

年金を受け取ることができるのはずっと未来のこと。その時点で、日本経済がどんな状態であるかは誰にも予想できません。一般に、物価は少しずつ上がっていくとされています。つまりインフレです。

そうすると、将来、仮に月5万円の年金を受け取れるのだとしても、それは今現在の5万円の価値はないかもしれないのです。(物価が上がっていて、今5万円で買える物が買えなくなっている可能性があるから)

国の年金は、インフレを考慮して、支給額は調整されることになっています。

対して個人年金保険にはそうした調整はありませんので、インフレ率によっては、せっかくの利回りが目減りしてしまうことにもなるわけです。これが金融商品として見たときの個人年金保険のデメリットです。
ちなみに、インフレに強いとされている金融商品としては「株式」「外貨」「実物資産(純金積み立てなど)」が挙げられます。

ほかは、保険会社の破綻のリスクが考えられます。

Q:個人年金保険の入り方は? いつでも始められる?

A:保険会社に申し込むだけですが、年齢の上限があります。

生命保険などと同様に、保険会社に申し込んで契約することで個人年金保険に加入できます。

生命保険のような審査(健康診断書の提出など)はないか、あっても審査基準は非常にゆるいものです。ただし、契約できる年齢に上限があります。会社によって違いますが、45歳~50歳までというところが多いようです。

年金は老後に受け取るものですから、加入は老後になる前でなければならないのはあたりまえですよね。保険会社が、支払われた保険料を運用してふやす期間も必要ですので、歳をとりすぎている(→年金を受け取るまであまり間がない→そのお金を運用できる期間が少ない)とダメなわけです。

なお、契約時の年齢が高いほど、保険料を支払う期間が短いわけですから、保険料自体は高くなります。そうしないと年金のもととなるお金(年金原資と言います)を十分に確保できないからです。

ですので、できるだけ若いうちにはじめておくほうが良いのですが、上限間近になっても、入る意味はあります。個人年金保険の保険料は、一時払いといって、一括ですべて支払うという方法もあります。退職金などのまとまったお金で一時払いをして個人年金保険に入る人も少なくありません。(※ただし、一時払いの場合、個人年金保険料控除の対象になりません)

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